防具:衣服(Cloth)
射程:遠距離魔法(Ranged Spell)
参照ステータス:知力(Intellect)
MPの呼称:マナ(Mana)/シャドウのみ マナ(Mana) + インサニティ(Insanity)
武器:両手持ち錫杖(Two-Hand Staff) or 杖(Wand) + 魔導器(Off-Hand)/全スペシャリゼーション共通
対応種族:オーク(Orc) と ハイマウンテン トーレン(Mighmountain Tauren) を除く全て
概要
プリーストといえばやはり回復。ただ、WoWの場合は回復にも色々種類があります。2~3人 の小規模パーティなら単体回復でも十分事足りますが、5人 参加のダンジョン攻略では単体回復だけで間に合うかどうかは少々不安です。25人 が参加するレイド戦では、単体回復だけでは残念ながらほぼ間に合いません。プリーストはヒーラースペシャリゼーションが二つ持ちますが、ディシプリン(Discipline) が少人数パーティ向きの単体回復に特化したスペシャリゼーションで、ホーリー(Holy) は大人数向きの範囲回復に特化したスペシャリゼーションです。シャドウは他の二つのスペシャリゼーションに比べると回復能力が極端に劣りますが、代わりに攻撃力が高いため、ソロプレイする時に優秀です。プリーストは誰とどのように遊ぶかによってスペシャリゼーションを変更して対応できる優れたヒーラーです。
プリーストはヘイトのコントロールにも優れます。「ヘイト」とは「モンスターの憎しみ値」とでもいうもので、基本的にNPCモンスターはヘイトが最も高い対象を攻撃します。ウォリアの《挑発/Taunt》は意図的にヘイトを溜めてモンスターの攻撃を自分に引き付けさせる技で、逆にローグの《トリック オブ ザ トレード/Tricks of the Trade》は自分のヘイトを減らして他のキャラクターを殴らせる技です。WoWではヘイトの事を「スレット/Threat」と呼んでいます。プリーストは《フェード/Fade》を使うと自分に向いているヘイトをゼロにできるので、ローグと同じように自分に向かってきた敵の攻撃対象を逸らすことができます。特に《シャドウフィーンド/Shadowfiend》を召喚できるディシプリンとシャドウは、ミニオンを召喚した直後に《フェード/Fade》を撃つことで、ソロプレイしている時でもターゲットを逸らすことができます。残念ながら《シャドウフィーンド/Shadowfiend》はたった 15秒 しか一緒に戦ってくれませんが、短時間でもシャーマンの《アース エレメンタル/Earth Elemental》と同じ事ができる、と考えるとかなり優秀に思えます。《シャドウフィーンド/Shadowfiend》を召喚できないホーリーは、残念ながらソロプレイ時にはターゲットを逸らすことができません。ただ、パーティプレイしている時に敵が自分をターゲットして殴り掛かってきた場合、《フェード/Fade》を使えば敵から攻撃されなくなる可能性がある事は覚えておくといいかもしれません。(残念ながら一部のダンジョンボスなど、特殊な能力を持った敵はこの方法が通じない可能性があります。)

もしも自分のHPがピンチになったら、《心霊絶叫/Psychic Scream》を撃つといいでしょう。《心霊絶叫/Psychic Scream》は周囲の敵に 恐怖(Fear) の状態異常をかけるアビリティで、インスタントキャストできます。恐怖の状態異常はダメージを与えることで解除されてしまうので少し注意が必要ですが、自分が逃亡したい時に時間稼ぎしたい場合は非常に有効な対処法になります。また、相手が厄介なアビリティを持っている場合、恐怖のステータス異常を与えると呪文詠唱やチャネリングを妨害できるので、インタラプトとしても使える事を覚えておくといいでしょう。そのため《心霊絶叫/Psychic Scream》はPvPでも大活躍します。恐怖に対する対抗策を持ったウォリアやシャーマン以外のクラスのキャラクターにとっては《心霊絶叫/Psychic Scream》はかなり厄介なアビリティになります。

プリーストの長所
- 全クラス中でもトップレベルの回復能力を持つ。しかも概要で述べたとおり、小規模パーティ用のディシプリンと大規模パーティ用のホーリーとを使い分けられる。
- 蘇生魔法を使える。ただし戦闘中には使用できない。
- 《パワーワード:フォーティチュード/Power Word: Fortitude》により、味方のスタミナを長時間上昇させるBuffをかけられる。
- 前述のとおり《心霊絶叫/Psychic Scream》が非常に強力。防御に使えるだけでなくインタラプトにも使える。
- 前述のとおり 《フェード/Fade》を使ってヘイトのコントロールができる。《シャドウフィーンド/Shadowfiend》と組み合わせると効果的。
- 《大いなる解呪/Mass Dispel》により複数の味方の状態異常を一斉に解除できる。同時に敵のBuffも解除できる。致命的な状態異常を引き起こすアビリティを使用するダンジョンやレイドの敵を相手にする際に非常に心強い。
- 《精神支配/Mind Control》で 人型(Humanoid) や 獣(Beast) の敵を操作して同士討ちさせられる。ただし対象が死亡したり、範囲外に移動したり、効果時間が切れたりして精神支配が解けた場合、精神支配していた対象本人、及び精神支配で同士討ちさせられていた敵全員のヘイトがプリースト本人に集中するため注意が必要。
- 《レビテート/Levitate》で落下ダメージを完全に無効化できる。また、デスナイトやシャーマンとは別の方法で水上を移動できる。ただしデスナイトやシャーマンのようにマウントしながら高速移動する事はできない。
プリーストの短所
- 攻撃力にやや乏しい。特にホーリーは攻撃能力が非常に低い。DPSであるシャドウですらも、他のクラスと比較するとクセが強くてかなり扱いづらい。
- 全体的に割と上級者向き。特に使える呪文が非常に多いホーリーと、戦い方がかなり特殊なシャドウは慣れるまでにかなりの熟練を要する。
- クラストライアルのチュートリアルがディシプリンしかサポートしていない。扱いが難しいホーリーとシャドウのスペシャリゼーションについては自分で研究しなければならない。
スペシャリゼーションの方向性
基本的に全てのクラスが「スペシャリゼーション(Specialization)」と呼ばれる戦闘スタイルを3つ持っています。スペシャリゼーションを切り替えるだけで、全く別のキャラクターになったかのように操作性や戦術をガラッと変えられます。今のスペシャリゼーションがもしも自分に合っていないなぁと感じるなら、他のスペシャリゼーションに切り替えてプレイしてみましょう。スペシャリゼーションは戦闘をしていない状態でなら、基本的にいつでもどこでも変更できます。(ただしミシックダンジョンに挑んでいる時など、例外がいくつかあります。)

― ディシプリン(Discipline)/ヒーラー


概要で述べたとおり、単体回復専門のヒーラーです。範囲回復呪文も一応ある程度は持っていますが、効果量がイマイチだったり、あるいはクールダウンが設定されていたりするため、ホーリーほど範囲回復が得意ではありません。ただ、2~3人の小規模パーティでは単体回復だけで事足りる上、ディシプリンは「攻撃と回復を同時に行える」という特徴を持っています。補助魔法をかけた後で攻撃に従事しているだけで自動的に回復も出来てしまうため、小規模パーティでならホーリーよりも効率的なサポートができます。
ディシプリンの単体回復魔法や単体補助魔法には、「アトーンメント(Atonement)」というBuff(一時的な強化効果)を 15秒間 かける追加効果があります。回復魔法の《シャドウ メンド/Shadow Mend》や防御魔法の《真言・盾/Power Word: Shield》がこの追加効果を持ち、範囲回復魔法の《真言・光輝/Power Word: Radiance》にもアトーンメントの追加効果がついています。ただ、《真言・光輝/Power Word: Radiance》の場合は後述するアトーンメントの効果が 70% しか適用されません。
アトーンメントの効果は「Buffがかかっているキャラクターに対して、自分の攻撃魔法が与えたダメージの 55%分 の回復効果を自動でかける」というものです。つまり、回復や補助をばら撒いてアトーンメントのBuffをかけた後は、魔法攻撃しているだけでも勝手に回復が出来てしまいます。しかも《密言・痛/Shadow Word: Pain》のようなDotにも適用されるため、《密言・痛/Shadow Word: Pain》が事実上「HP吸収効果を持ったDot」になります。この効果のお陰で、こと小規模パーティに限ってはホーリーよりも圧倒的に優れたサポートが可能になります。
アトーンメントは 15秒間 しかもたないので、比較的頻繁にかけ直しをする必要があります。ただ「7.5秒間 装甲(Absorbing Damage) 効果を与える」《真言・盾/Power Word: Shield》はインスタントキャストできる非常に優れた補助呪文です。詠唱時間をほとんど喰う事もなくサポートをかけ直してスグに攻撃に戻れます。複数の味方に一気にアトーンメントをかけたい場合は《真言・光輝/Power Word: Radiance》が有効です。ただ《真言・光輝/Power Word: Radiance》は 2チャージ しておけますが、クールダウンが 20秒 なので撃つタイミングには少し気を付けると良いでしょう。
弱点は 6人以上 のレイドパーティだと面倒が看きれない事が挙げられます。《真言・光輝/Power Word: Radiance》は 5人 までしか効果がないため、6人以上 のパーティではアトーンメントのBuffが十分に行き届きません。大部隊でヒーラーをする場合は範囲回復が得意な ホーリー(Holy) にスペシャリゼーションを変更した方がいいでしょう。
また、ディシプリンはインタラプトが苦手です。《心霊絶叫/Psychic Scream》以外にはノックバックアビリティの《シャイニング フォース/Shining Force》ぐらいしかインタラプト手段がありません。そのため 恐怖(Fear) などの致命的なステータス異常を与えてくる相手や回復アビリティを持った敵を相手にする場合、対策が難しくなるという欠点があります。危険な相手と戦う場合、パーティメンバーにあらかじめ注意を促しておくといいかもしれません。
― ホーリー(Holy)/ヒーラー


範囲回復のスペシャリストです。レイド戦のような大部隊で味方を一斉に回復する事に特に長けている構成で、強力な範囲回復呪文をいくつも持っています。ただ、使える呪文が非常に多いため操作がかなり複雑です。そもそも、攻撃魔法、単体回復魔法、範囲回復魔法それぞれに「必殺技」とも呼ぶべき「効果が高い代わりクールダウンが長い呪文」が一つずつあって、他の通常詠唱呪文を撃つと、それぞれに対応した「必殺技」のクールダウンが短縮されて素早くリチャージされる、というかなり複雑なシステムを持っています。それぞれの呪文の効果をしっかり把握して、どの呪文がどの呪文のクールダウンと関係しているのか、あらかじめ体で覚えておくといいでしょう。必要なタイミングで必要な呪文を撃たなければ満足に回復できないため、使い慣れるまでには練習が必要かもしれません。
【攻撃呪文】▼
必殺技:《ホーリー ワード:チェスタイズ/Holy Word: Chastise》
→ 強力なダメージを与える。タレント次第ではスタンの追加効果がつく。インスタント呪文。クールダウン 1分。
強力技:《聖なる炎/Holy Fire》
→ ダメージを与えてDotを残す。インスタント呪文。クールダウン 10秒。
通常魔法:《聖なる一撃/Smite》
→ ダメージを与える。詠唱時間 1.3秒。《ホーリー ワード:チェスタイズ/Holy Word: Chastise》のクールダウンを 4秒減らす。20% の確率で《聖なる炎/Holy Fire》のクールダウンをリセットする。タレント次第では 8% の確率で《瞬間回復/Flash Heal》をインスタントキャスト可能にする。
【単体回復魔法】▼
必殺技:《ホーリー ワード:セレニティ/Holy Word: Serenity》
→ 強力な回復効果。インスタント呪文。クールダウン 1分。
通常魔法 ▼
《瞬間回復/Flash Heal》
→ 弱い回復効果。詠唱時間 1.3秒。タレント次第では回復魔法か《聖なる一撃/Smite》を撃った時に 8% の確率でインスタントキャスト可能になる。《ホーリー ワード:セレニティ/Holy Word: Serenity》 のクールダウンを 6秒 短縮する。
《小回復/Heal》
→ 中程度の回復効果。詠唱時間 2.2秒。《ホーリー ワード:セレニティ/Holy Word: Serenity》のクールダウンを 6秒 短縮する。
《連結回復/Binding Heal》
→ 自分と、対象と、対象の近くにいる別の味方の合計3人を同時に小回復する。タレント。詠唱時間 1.3秒 。《ホーリー ワード:セレニティ/Holy Word: Serenity》と《ホーリー ワード:サンクティファイ/Holy Word: Sanctify》の両方のクールダウンを 3秒 短縮する。
《リニュー/Renew》
→ 小回復してHot(時間が経つごとに徐々に回復する効果)を残す。インスタント呪文。何故か範囲回復魔法の《ホーリー ワード:サンクティファイ/Holy Word: Sanctify》のクールダウンを 2秒 短縮する。
【範囲回復魔法】▼
必殺技:《ホーリー ワード:サンクティファイ/Holy Word: Sanctify》
→ 強力な範囲回復効果。インスタント呪文。クールダウン 1分。
通常魔法:《プレイヤー オブ ヒーリング/Prayer of Healing》
→ 弱い範囲回復効果。詠唱時間 1.7秒。《ホーリー ワード:サンクティファイ/Holy Word: Sanctify》のクールダウンを 6秒 短縮する。
他にも回復呪文はいくつかありますが、上記以外の呪文はクールダウン系統が独立していて、他の呪文に効果を及ぼしません。いずれにせよ、「必殺技を撃った後で、通常魔法で必殺技のクールダウンを短縮する」という構造を意識すると、どうやったら効果的に攻撃や回復ができるか見えてくるかと思います。逆に言うなら、適当に呪文を撃っていても満足に回復できないため、実践前にまずは呪文の効果をしっかり覚えるところから始めましょう。
― シャドウ(Shadow)/遠距離DPS
MPのタイプ:マナ(Mana) + インサニティ(Insanity)


プリースト唯一のDPSスペシャリゼーションです。他のスペシャリゼーションに比べて高い攻撃力を持ちます。その半面で回復能力はガクッと下がりますので、他のスペシャリゼーションから鞍替えした際にはHPの管理に気を付けてください。
シャドウは他のスペシャリゼーションと比べると最大マナが 1/5 までガクッと下がります。しかし攻撃にはマナを使いません。シャドウの場合、マナは「回復魔法や補助魔法にのみ必要なMP」だと考えてください。この特徴はドルイドやシャーマンなどのヒーラースペシャリゼーションを持つクラス全てに共通する特徴で、DPSなどのヒーラー以外のスペシャリゼーションは回復魔法や補助魔法にしかマナを使いません。その代わり最大マナがヒーラースペシャリゼーションの 1/5 にまで減少するので、回復魔法を連発できる回数が減ります。
シャドウは基本的に《影なる姿/Shadowform》で戦います。《影なる姿/Shadowform》を起動すると禍々しい漆黒のオーラを纏い、自分が与える呪文ダメージが +10% されます。また、シャドウはエレメンタルシャーマンの「メイルシュトローム」やバランスドルイドの「アストラルパワー」に似た「第二のMP」とでも呼ぶべきステータス「インサニティ(Insanity)」を持ちます。攻撃魔法を撃っているとこのインサニティが溜まっていき、一定値以上インサニティが溜まると《影なる姿/Shadowform》よりもさらに強力な《虚無なる姿/Voidform》に変身できます。変身の際に《ヴォイド イラプション/Void Eruption》という強力な範囲攻撃をする上、《虚無なる姿/Voidform》 に変身中は呪文攻撃力が +20% されるため、変身直後に瞬間的にすさまじいバーストダメージを発生させられます。しかし変身直後からインサニティが減少していき、時間経過と共に減少速度が速まっていきます。インサニティがゼロになると変身が解除され、最初から溜め直しになります。ですので、基本的に《影なる姿/Shadowform》と《虚無なる姿/Voidform》を行き来しながら戦う事になるでしょう。
シャドウは他のクラスのDPSスペシャリゼーションと比べるとかなり扱いづらい印象があります。変身システムが複雑なのも扱いづらい原因の一つなのですが、最も大きな要因の一つとして主力攻撃手段の一つである《思念撃破/Mind Blast》が 1.3 秒の詠唱時間を持つ上に 6.4秒 のクールダウンまで持つため、非常に不便である事が挙げられます。ですのでタレントや戦術を工夫して、《思念撃破/Mind Blast》を使わなくてもしっかり戦えるように調整するのも一つの手だと思います。《思念撃破/Mind Blast》を使わない場合は《マインド フレイ/Mind Flay》が主力攻撃手段になるでしょう。
シャドウを扱う上でまず覚えておきたい事は、《密言・痛/Shadow Word: Pain》が説明文以上に強力な効果を持つことです。パッシブの《シャドウィ アパリション/Shadowy Apparitions》は「《密言・痛/Shadow Word: Pain》のDotがクリティカルした場合、亡霊が飛んでいって敵にさらにダメージを与える」という効果を持ちます。しかも《シャドウィ アパリション/Shadowy Apparitions》はタレントやアーティファクトパワーで強化できるため、構成次第では《密言・痛/Shadow Word: Pain》がただのインスタントDot呪文を遥かに上回る効果を持つようになります。複数の敵に同時に《密言・痛/Shadow Word: Pain》のDotをかけていた場合、ちゃんとDotがかかっている敵全てに対して亡霊が飛んでいきます。ですので戦闘開始時にはまず《密言・痛/Shadow Word: Pain》を撃つ事をお勧めしますし、複数の敵に囲まれた場合も一体ずつ正確にDotを撃ち込むように心がけると短期決着が望めるかと思います。
シャドウは扱いの難しいスペシャリゼーションですが、決して弱いわけではありません。使いこなせるようになると独特の楽しみがあります。